元の理

「元の理」は、「つとめの理話」ともいわれるように、「かぐらづとめ」の理合いを明らかにすることに最大の眼目があります。すなわち、つとめによってなぜたすかるのか、また、なぜつとめをそのように勤めるのかを教えられている話です。元初まりの話と同義的に用いられますが、単なる人間創造の説話ではなく、今も変わらぬ人間世界の成り立ちの基本原理をお示しになった話であり、教えの根幹をなすといってもよい大切なものです。その概略は、次の通りです。

親神様は陽気ぐらしを見て共に楽しみたいと思召して人間を創造された。

まず夫婦の雛型をこしらえようと、うを と み を引き寄せ、最初に産みおろす子数の年限が経った暁に、神として拝をさせるとの約束のもと、承知をさせて貰い受けられた。

さらに、六種の道具衆を引き寄せ、承知をさせて貰い受け、食べてその性を見定め、それぞれに応じた役割に使われた。

泥海中のどぢよを皆食べて、これを人間の種とし、夫婦の雛型に月日が入り込み、元のぢばで、九億九万九千九百九十九人の子数を宿し込まれた。

最初は五分から生まれ、九十九年ごとに三度の出直し、生まれ替わりを重ね、四寸まで成人して皆出直した。

そののち、虫、鳥、畜類などと八千八度の生まれ替わりを経て、最後にめざるが一匹残った。その胎に男女各五人の人間が宿り、五分から生まれだんだんと成人するとともに、海山、天地なども次第に形作られ、五尺になったとき,世界は出来、人間は陸上の生活をするようになった。

この間、九億九万年は水中の住居、六千年は知恵の仕込み、三千九百九十九年は文字の仕込みをもって育てられ、子数の年限を経過した約束の時が立教の元一日である。

元の理の話の中で、人間は何のために、だれによって、いつ、どこで、どのように創られたかが明示されています。こうした元、根本を示して、たすかる道を教えられたところに天理教の特質があります。

道友社刊『ようぼくハンドブック』より